第14章 代償
ドクン、ドクン、、、
心臓が早鐘を打つ。
パタンとドアが閉まり。静かな病室には機械音だけが響く。
一歩、二歩とベッドへと近づき、いくつもの管に繋がれたを目にした。
「ーーーーっ、、」
自分が目を背けていた現実を目の当たりにし、思わず顔が歪む。
「・・・…お前いつまで寝てんだよ…。
いい加減起きろよな…」
勿論返事はない。
固く目は閉じられ呼吸器の音が虚しく響く。
ーーーーふざけんな。
このまま意識戻らねーとかマジで有り得ねーからな⁈
ガタン
脇にあったパイプ椅子に力無く腰を下ろし、じっとの顔を見つめた。
「・・・頼むよ…目、開けてくれよ…」
手を伸ばし少し乾いた唇に親指を滑らせる。
そして頬を撫で柔らかい髪に指を絡めた。
「・・・・俺、昔っから髪が長い女が好きだったのにな…。
背の高い女も、クリッとした猫目も、気の強い女も、、、、全っ然タイプじゃねーのに。
ーーー気づいたらお前しか目に入らなくなってたわ。」
フッと鼻で笑い、の指を手に取ると、その細い指は少しひんやりとして何だか急に寂しさが襲ってきた。
ーーーコイツ、こんなに手冷たかったか?
俺はもう片方の手も添え、体温を分け与えるように両手でぎゅっと指を握りしめる。
「・・・起きなきゃまた前みたいにチューするぞ?」