第10章 自覚と恐怖 流血、残虐な描写あり
黒井さんは理子ちゃんを背で庇い、傑は空中に巨大な呪霊を顕現させるとその呪霊は五条を刺した男を吸い込もうと大きな口を開けた。
バグンッ
男が飲み込まれたのを確認し、傑は五条の元へと駆け寄った。
「悟っ‼︎」
けれど五条は大丈夫だと言わんばかりに手を挙げる。
「問題ない。
術式は間に合わなかったけど内臓は避けたし、その後呪力で強化して刃をどこにも引かせなかった。
ニットのセーターに安全ピン通したみたいなもんだよ、マジで問題ない。」
そう言うと何も無かったかのようにスッと立ち上がった。
『ーーーー…ッ』
気付けば頬を涙が伝っていた。
五条が刺され、まるで自分の心臓を突き刺されたような衝撃と痛みが走った…
失ってしまうんじゃないかとあまりの恐怖に足が竦み、全身が震えた…
そして「問題ない。」と笑みすら浮かべる五条の顔を見て、、、、
安心した途端、涙が溢れた…。
こんなに感情が揺さぶられたのは生まれて初めてだった。
自分でも気付かない間にこんなにも五条の存在が大きくなっていたなんて、、、
ーーーーいや、、ちがう。
ほんとは薄々気づいていたのに認めたくなかった。
理子ちゃんの言う通り、私は五条に恋に落ちていたんだと思う。