第9章 星漿体②
ーーーあと残り2日。
ひとつでも多く楽しい思い出が残るように…。
『ーーー?』
傑がそっと横に立ち、優しく私の手を握った。
「理子ちゃんは強いな…。」
浅瀬を駆け回る理子ちゃんを見ながら私は小さく頷いた。
『私だったらとっくに逃げ出してる。』
「が星漿体だったら護衛は大変だろうな。」
『私なら地球の裏側まで逃げるけどね?
フフッ、でもさぁいくら逃げても五条は地の果てまで追いかけて来そうだよね、こわ〜(笑)』
そんな光景を想像して1人笑っていると、握られた手に僅かに力が込められたような気がした。
「・・・・いや、悟はきっと追いかけないよ。」
傑の真面目な声のトーンに、『え?』と笑いを抑えた。
「・・もしが星漿体だったら、悟はまず同化なんてさせないよ。
天元様や呪術界を敵に回してでもを守るだろうね。」
傑ーーーー?
あり得ない話なのに、何でそんな事を言うのか理解できずにいると、離れた場所から五条が声を上げた。
「傑、ー!残り時間はあと5分だぞーーー!
ちなみに黒井さんも参加メンバーに入ってるから急いだ方が良いよー!」
「わっ、私もですかぁ⁈」
黒井さんが私達の横を慌てて駆けて行くと、繋がれた手が離された。
「ーー全く。ナマコなんて触りたくないが、勝負とあらば仕方ない。私達も行こうか?」
『ーーーう、うん…』
傑、何であんな事言ったんだろう…。
答えが分からず、まだ少し残る手の温もりをぎゅっと握りしめた。