第4章 地獄、落ちました
私の意識は、未だに暗闇の中を彷徨っていた。
三途の川とか死んだおじいちゃんとか見えるんじゃないのか、なんて思うけど何も見えない。
ぼうっとする意識の中、ふと誰かの声が聞こえた。
複数の声がどこからか発せられ、ヒソヒソと話していた。
耳に全神経を集中させると、その会話の内容を聞き取ることができた。
「……まだ早ぇんじゃねぇの」
まず第一に、低くビブラートのかかった男の声が聞こえた。
早いとは一体何が早いのか……。
私のことかな。てかこの人誰?
様々な疑問が生じる中、次々に言葉が飛び交う。
「でも魂を戻すにしても、器がもう使い物になりませんよ」
今度は天使を思わせるような優しい声が聞こえた。
器ってなんだろう。体の事かな。
ていうか、魂戻すとかできるの?
質問するにも、疲れて口が動かない。
もどかしさに苛立っていると、次に「うぅーん」という唸り声が響いた。
でも、唸り声と言ってもそこまで重要に感じてない感じ。
「やっぱりさぁ、連れてくしかないんじゃない?」
次に明るい綺麗な声がした。
さっきの二人とはまた別人のようだ。
ていうか、連れてくって天国の事かな。
……私死んだし。