第26章 極秘任務
「どう考えても、一年に務まる任務じゃない」
七ちゃんが眉間にシワを寄せ低い声で呟く。そんな七ちゃんの左手には黒い呪具ケースが握られている。もちろん中身は彼の相棒である鉈だ。
「僕は燃えてるよ!夏油さんにいいところ見せたいからね!」
「さすが雄ちゃん、やる気満々だね。私はちょっと緊張する…」
小さく溜息を吐き出した。七ちゃんの言う通り、先輩達の補佐が私達に務まるのか不安だからだ。
しかもその内容が、高専結界を守っている天元様と同化する予定の星漿体の護衛と抹消だと先生から聞いたのは今朝のこと。空港で呪詛師の襲撃を防ぐのが私達の役目だ。
どうやら傑先輩と五条先輩が選ばれたのは天元様指名らしく、そんな凄く重要な任務を任される二人はやっぱりそこら辺の術師との実力は大きな差があるのだと感じた。
だからなおのこと不安なのだ。私達で大丈夫なのかと…
「それに、いたいけな少女のために先輩達が身を粉にして頑張ってるんだ!僕達が頑張らないわけにはいかないよ!!」
「台風が来て空港が閉鎖されたら頑張り損でしょう」
拳を握りしめる雄ちゃんと、低い声で呟く七ちゃんのテンションは真逆だ。それが何だか可笑しくてクスクスと笑えば、七ちゃんは私を見下ろし「何笑ってるんですか」なんて不機嫌そうに言うものだから、また笑ってしまった。