第24章 告げる
私はあの後結局、逃げるようにして五条先輩の部屋を後にした。走って走って走って、息が切れるまで走って。
五条先輩のあの表情がチラつく。何であんな顔をしたの、何であんな切な気な声で名前を呼んだの。
傑先輩に会いたいと思った、今すぐ会って抱きしめて欲しいと。傑先輩でいっぱいにして欲しいとそう思った。
もう五条先輩のことなど考えなくて済むくらい…傑先輩でいっぱいにして欲しいと。傑先輩でいっぱいになりたいと。何度もそう思わずにはいられなかった。
それは…五条先輩から逃げる為なのか…
それとも傑先輩を求める気持ちなのか…
己の感情がぐちゃぐちゃになっていく。苦しくて辛くて沈んでいきそうになる。
「…私って…本当にダメだな…」
こんなんじゃ、傑先輩に合わせる顔も無い。今すぐ抱きしめてだなんて言える訳がない。それなのに会いたい、傑先輩に会いたくてたまらない。
傑先輩…
「……会いたいよ」