• テキストサイズ

【呪術廻戦】抱きしめた分だけ君を想う

第24章 告げる





この人の不安を、全て取り去り消してあげられたら良いのに。




けれど、不安にさせているのが自分なのだとそう思うと、やはりこの目の前で不安に瞳を揺らす傑先輩を、強く抱きしめずにはいられなかった。




いつだって優しくて強くて完璧で、けれど私の前ではゆらゆらと瞳の中を揺らすこの人を…私は…




「傑先輩、キス…して」




「…え」




「傑先輩と、キスしたい」




「…けれど」




多分先輩は、私の気持ちを考えてくれている。だけど私は、傑先輩が不安に思うからそうしたいと思った訳じゃない。もちろん先輩に安心して欲しいという気持ちも大いにあるけれど。傑先輩に触れたいと、今この瞬間、そう思ったんだ。





「傑先輩としたい…今、したいんだよ」





小さく声が震える。自分からこんなことを言う日が来るなんて、思ってすらいなかったから。





少しばかり身体を離した先輩が、困ったようにこちらを見上げている。ゆらゆらと揺れる黄金色の瞳が、真っ直ぐに私を捉えて離さない。




「本当に、良いのかい?」




「うん」





その私の返事を合図に傑先輩は椅子からスッと立ち上がると、見上げていた私を今度はその背の高い身長から見下ろした。





「…エナ」





優しい声だ。心地の良い…傑先輩の声。





その切長な瞳が静かに塞がれるのを合図に、私も瞼をゆっくりと閉じた。





/ 647ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp