第24章 告げる
なかなか言えずにいる私の変わりに、傑先輩はまるでそれが当然であるかのようにそう言ってくれる。
本当ならば、私が言うべきことだったはずだ。
それなのに、やはり傑先輩はいつだって私のことばかりで。そしてそれすらも全て優しさで包んでくれる。
平気だよ、何も心配いらないから、大丈夫。まるでそう言ってくれるみたいに。
「は?」
「聞こえなかったかい?もう一度言う?」
「本気で言ってんの?」
五条先輩の返す言葉が何に対しての本気なのか。私達が付き合っていることに対してなのか、それとももう一度言う?と言った傑先輩に対してなのか。
「もちろん本気だよ。こんな嘘、付くわけが無いだろう」
何とも言えない空気が流れる。
五条先輩の雰囲気は、私が想像していた物とは違う。声のトーンも、その表情もだ。
てっきり、興味が無さそうな態度を取ると思っていた。けれど五条先輩の顔付きは、怖いほどに真顔で、そしていていつもよりも唸るようなその声に、背筋が震え変な汗が額に滲む。
怒って…いるのだろうか。
付き合うことを黙っていた事に対してか、それとも付き合ったこと自体にか。
セフレの分際で五条先輩の親友と付き合ったことに対してかも。
分からない、分からないけれど…