第22章 分からない
「でも、私が不安だと言ったからといって、悟との修行を辞める必要は無いからね」
「…え」
頭の片隅では五条先輩にどう修行の断りを入れようかと考えていたから、その傑先輩の言葉にピタリと思考が止まる。
「でもそれじゃあ傑先輩が…」
「言ったろう?抱きしめてもらったから平気になったって」
「…本当に?」
「本当だよ」
「本当の本当?」
「ふふ、本当の本当。まぁ少し妬きもちは妬いてしまうかもしれないが、許してくれるかい?」
「そんなの…もちろん全然だよ」
「不安になったらまた抱きしめてくれる?」
「うん、もちろん!」
「ありがとう」とゆるやかな声色が私の耳元に聞こえてくると、優しい温もりの中そっと互いの身体を抱きしめ合った。