第19章 可愛いひと
傑先輩がこの巾着を大切に持ち歩いてくれていることが嬉しい。
まぁもちろん、傑先輩ならばきっと貰ったプレゼントは大切にしてくれるだろうとは分かっていたけれど、それでもやっぱりこうして大事にしてくれている姿を目の当たりにすると嬉しいものがある。
ヒラヒラと手を振り任務へと向かっていく傑先輩の姿が見えなくなるまで見送ると、私は再び自分の席へとガタリと座った。
ノートに目をやれば、傑先輩が先ほど説明の時に書いてくれた綺麗な文字が目に入る。
「…すぐる、先輩」
何故だか胸の中が落ち着かない。
それなのにまるで心の中は満たされているみたいに温かな感覚がするのは何故だろう。
傑先輩の任務が無事に終わりますように。まぁ先輩が何かミスを犯すなんてことはもちろん無いだろうけれど。
私は「ふぅ…」と小さく息を吐き出すと、綺麗に並ぶノートの文字を見つめた。