• テキストサイズ

【呪術廻戦】抱きしめた分だけ君を想う

第18章 当たり前





朝目が覚めると、すでにそこに子虎はいなかった。



いつの間にか眠ってしまっていた自身の顔を鏡で写してからの第一声は、酷い顔をしている。だった。



昨日はとても早く寝たはずなのに、その目元のクマは酷く瞼は腫れている。



大して涙は出なかったはずだ。思っていたよりもずっと。あそこまで胸の痛みに襲われ心臓を剣で貫かれた感覚さえしたのに、本当にしんどいことが起きた時は涙すら引っ込んでしまうのかとそんな知らなくても良いことを思い知った。



あとは、多分…いや間違い無く傑先輩が言った「好き」という言葉に衝撃を受けたからあれ以上泣かないで済んでいたのかもしれない。



私の隣で眠っていた子虎ですら、あの時の傑先輩の優しさなのだと今になって気が付く。




あんな状況でも…傑先輩は相手を優先出来る優しく思いやりがある人なのだ。どこまでも優しく温かな人なのだ。




そんな人にあんな傷付いた顔をさせてしまった。私は…傑先輩を傷付けてしまった。




何も知らず、何も分かろうとはしないまま傑先輩の優しさに甘え、そして彼の温もりに酷く安心すら覚えて…




傑先輩の思いなど見えていなかった。本当に…最低だ…




先輩は嘘をついたと胸を痛めていたが、そんなの私がしてしまったことに比べれば全然だ。こちらの方が何倍…いや何百倍も最低なことをしていたのに。








/ 647ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp