第17章 それは突然に
決して短い期間などではなかった。
時間にしたらそれは少なかったのかもしれないが、私達の関係が始まったのはつい最近などでは無い。数回だけの関係などでは無い。
私が五条先輩を想っていた時間は決して短くなどなかったし、任務がない時はほとんどの時間は彼を思って過ごしていたと言っても良いほどだった。
でも、だから何だ。私がいくら想っていたとしても、1日のほとんどを五条先輩のことで埋め尽くされていたとしても、それは彼にとっては何でも無かったのだ。
何でも無かったという事だ。分かってた、分かっていたはずなのに。きっと私はそれを否定し知らないふりをした。
なんて愚かで哀れなのだろうか。
分かっていてなお、それを認めたく無かっただなんて。
何度も言い聞かせていたはずだ。五条先輩は私の隣へ来ることはないと。私を選び共に歩んでくれることはないと。
全部自分の独りよがりな想いだった。
繋がっているような気になって、自惚れて期待して、時に絶望して。それでも性懲りも無く五条先輩が好きだった。繋がってなどいなかった。少しだって先輩と私の想いは繋がってなどいなかったのに。
壁を壊したかったんだ。私と五条先輩の間にある分厚く果てしないほどのその壁を。
トンカチだっていい。呪力で思い切り爆発させたって構わない。でもそんな私のめちゃくちゃな願いだろうが叶いはしなかった。何故なら五条先輩はそれを望んでいなかったからだ。