第17章 それは突然に
ドカンッと大きな爆発音と共に呪霊が粉々に飛び散っていく。祓い残しはないか辺りをぐるりと一周見渡し何もない事を確認してから目の前の階段を降りた。
「そっちは終わったかい?」
「はい、終わりました。予想より早く終わりましたね」
「そうだね、こちらも呪物の回収は済んだよ。戻ろうか」
傑先輩の右手には怪しい30センチほどの木箱。今回の任務は呪物の回収と、それを取り巻く呪霊を祓うこと。
特級相当の呪物ということもあり回収時に何が起きるか分からない。そのため呪物の回収は傑先輩が、そしてそれに引き寄せられるようにして溜まりに溜まった呪霊を始末して行くのが私の任務だった。
握られた呪物の箱を眺める傑先輩の切長な瞳を見て思う。普段は優しく穏やかな先輩だが、こうして任務の時は少し違って見える。
冷静で冷淡で等級の低い術師は特に、その鋭いオーラに圧倒されるばかりだろう。
私だってそれは例外ではない。夏油先輩の戦闘中は不用意に近付くことは出来ないし、その溢れ出る呪力量の多さに気を抜いたら気を失いそうになるほどだ。
帳が上がっていく。それを待っていたと言わんばかりに晴れやかな日差しが辺りを照らし補助監督が待っているであろう黒塗りの車へと向かった。