第16章 その気持ちが
ガラガラという音を立て食堂の戸が開く。
「ケーキ受け取りに行って来ましたよ」
「七ちゃんありがとうー!!」
「七海ありがと!お疲れ」
「それにしても、とんでもない大きさのケーキですね」
呆れたような、苦笑いのような表情でケーキの箱を持ち上げる七海ちゃんはそれを寮の食堂にある大きな冷蔵庫へと入れる。
「五条さんもいるつもりで予約してたから、大きいのにしちゃったんだよね」
「あぁなるほど、それで」
「それにしても残念だよね、五条先輩は朝から県外の任務に行っちゃったから何時に帰って来るか分かんないし、硝子先輩は一昨日から京都でしょ?皆んなで夏油先輩の誕生日お祝いしたかったのに」
そう、今日は我らが先輩
夏油傑先輩のお誕生日なのである。
今日は夕食後の食堂を借りて傑先輩にサプライズパーティーを仕掛けようと、まさに今飾り付けなどの準備中なのだが、残念なことに今日は傑先輩以外の三年生は外に出てしまっている。
「仕方ないよ、12月の五条先輩の誕生日の時も全員は集まらなかったしね。確かあの時は七海と家入さんが任務で居なかったよね」
「そうですね、地方任務でした。おかげで次の日五条さんにぐちぐち言われましたよ」
「あははっ、さすが五条先輩だね」
「何がさすがなのか分かりませんけど」