第15章 浮遊感
「そろそろ風呂入るか」
そう言って立ち上がった先輩に「うん、どうぞ〜」と雄ちゃんから任務は無事に終わったかというメッセージに返事を返す。
「は?」
「え?どうしたの、先輩」
立っていた先輩は私の方を見下ろし、それはそれは不機嫌そうに眉間にシワを寄せている。
え、何?なんか今怒るポイントあったの?
「一緒に入るぞって意味なんだけど」
「ふぇ?」多分、そんなとんでもなく情けない声が口から漏れたと思う。
「一緒に?」
「一緒に」
「誰と誰が?」
「俺とお前以外いるの?」
「いや…いないね、いないよね」
未だ唖然としながらパチパチとアホみたいに瞬きをする私に、五条先輩は呆れたような溜息を吐き出すと「ほら、行くぞ」と言ってさっさと脱衣所へと向かって行ってしまった。
え、私と五条先輩が一緒にお風呂?
いくらセフレといえど、今まで一度だってそんなことをしたことはなかった。もちろん高専の寮には、深夜まで任務がある生徒達の為に共同の大きなお風呂以外に各自の部屋にユニットバスがあるのだが…
先輩と一緒にお風呂なんて一度も入った事なんてない。