第15章 浮遊感
「え?部屋が一部屋しか取れてない?」
「はい、誠に申し訳ございません。こちらの手違いでして…現在ダブルのお部屋がお1つのみ空きがございます」
今日の任務はそこそこの等級の呪霊だったというのと、かなかなの田舎に派遣された為本来ならば夜遅くまでかかる予定だった。
まぁそもそも五条先輩がいる時点で何かが起きるというのは考えにくく、いや…建物破壊などの問題は起きる可能性があるのだが…
呪霊を倒し損ねるなどという心配は余程のことが無い限りほとんどなく、補助監督も次の現場に行くということで任務地から少しした先の温泉地で泊まりの予定だったのだが、まさかのそこで問題が起きた。
部屋が取れていなかったのだ。いや、部屋は取れていたが一つしか取れていなかったと言う方が正しいか…
受付で唖然としている私に、旅館の人は申し訳なさそうに冷や汗をかいている。それはそうだ、こんな田舎で他に泊まる場所などない。そもそもこんな田舎の旅館が平日の夜に空きの一つも無いのかと思うけれど、どうやらここの温泉は秘湯で有名らしくいつも老人達の宿泊者が絶えないんだとか…