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【呪術廻戦】抱きしめた分だけ君を想う

第12章 黒い玉




雄ちゃんとの任務を終えて寮に戻る帰り道、夕暮れ時の空はまだ一月という事もありすでに薄暗い。



早く春来ないかな、そしたら暖かくて今よりは過ごしやすくなるのに。東京とはいえ山の中にある高専はそれなりに寒くて身を縮こませるには十分だ。




自動販売機で温かい飲み物でも買ってから部屋に戻ろう。そう思い足を進めていた私は自販機の側にあるベンチに座り込む人物の姿を見付けて、パァッと表情を緩めた。



「傑先輩!」と、最近慣れてきた呼び名でそう声をかけようとして私は動きをピタリと止める。




疲れているのだろうか、ベンチにもたれる様にしてボーッとしている。そしてグッと眉間にシワを寄せ小さくため息を吐き出すと、右手へと視線を向けた。



その手の上には、黒い球体が一つ握られている。




ドス黒く…まるでこの世のものとは思えぬその黒さは、呪いが引き出す独特なモノなのかもしれない。それは丸く収まってはいるものの、呪霊そのものと言っても過言ではなくて。




「傑先輩」




私は気がつけば思わずそう静かに声をかけていた。





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