第11章 無意識に
これで合っていただろうか。少しどもっちゃったけど…
それにしても…あれ?返事がない。傑先輩って呼んだのに呼んで欲しいと言った本人からはまるで返事がなくて。
名前を呼んだと同時に軽く晒していた視線を目の前に持って行き、私はハッと息を止めた。
何故ならば…
目の前には私以上に顔を真っ赤な染めた夏油先輩…いや、傑先輩がいたからだ。
「あ、の…」
まさか、先輩…照れているのだろうか?いやでもそんなはずはない。だって、傑先輩は女性に名前を呼ばれるなど恐らく凄く慣れているはずだから。
だけれど、目の前の傑先輩は、どっからどうみても額から耳の端から顎の先まで全てを真っ赤っかに染めていて…
「…もしかして、照れてますか…?」
そうポソリと呟いた私の声にピクリと反応を見せた傑先輩は、口元を片手で抑えるようにしてさらに顔を真っ赤に染め上げた。
「すまない…すごく、嬉しくて…想像以上に…舞い上がっているのかもしれない」
そんな傑先輩の言葉と、あまりに赤すぎる顔を見て、ボッとまるで火山が噴火したみたいに私自身も再び顔を真っ赤に染めた。