第9章 合同任務
確かに、普段制服を着て髪を結んでいる夏油先輩はとてもキッチリとしていていつも隙がない様に見える。
それとは対照的に、この前初めて夏油先輩の部屋に泊まった時は髪を下ろしていて、寝起きのオフモードは可愛いとすら思ったほどだ。
うん、夏油先輩のオンとオフ凄く分かりやすいかも。髪を結んでる時はきっちり夏油先輩。髪を下ろしている時は何だかリラックスモードで可愛い夏油先輩だ。
今もこうして、私の髪を撫でる手つきに合わせ穏やかな表情を見せてくれるその姿が、いつもの少しクールな夏油先輩の印象とは違ってやっぱりどこか可愛い。
「はい、出来ましたよ」
「ありがとう、助かったよ」
「いいえ、これからも夏油先輩の部屋に泊まった時は私が髪乾かしてあげますね」
本当、こんなのが優しくしてくれるお礼だなんてショボすぎて言えはしないけど…少しでも夏油先輩の優しさに恩返しが出来るならば、どんな些細なことでもしたいから。
あと、こうして可愛い夏油先輩を見るのもなんだか嬉しくて。私だけの特権なんじゃないかって思うから。
だからベッドに座っている夏油先輩が少し驚いた表情をしながらも「じゃあその時は、またお願いしようかな」と嬉しそうに笑ったその笑顔を、やっぱり私はもう一度見たいとそう思った。