第8章 気まぐれ
重たくなっていた瞼を開いて、そこでやっと自分が眠っていた事に気が付く。
自ら眠った記憶は無いし、五条先輩におやすみを言った記憶もない。つまりは…疲れ果て気絶するように眠った可能性が高いわけで
薄らと開いた視線の先には薄暗い空間が広がっている。月明かりに照らされた部屋は、昨日今日過ごした五条先輩の部屋だ。
やっぱり…いつの間にか寝ちゃってたんだ。
服は着てる。お尻の方はスースーするから、どうやら着ているのはティーシャツだけのようだけれど。ブカブカなところを見るに多分これは五条先輩のティーシャツだ。
その証拠に、私を引き寄せスースーと規則正しく寝息を響かせている目の前の彼はティーシャツを着ていない。
あれだけ激しくベッド上で声を上げていたんだ。汗もかいたし愛液でベトベトにだってなっていたはずだ。それなのに、五条先輩の服を身に付けた私の身体はベトベトどころか汗一つかいていないみたいにサラサラで、どうやら身体が綺麗に拭き取られているようだった。
え、どうして?と思わなくも無いけれど、そんなの目の前にいる五条先輩以外がやってくれるわけがない。
つまりは、五条先輩が寝てしまった私の汗やらなんやらでベタベタになった身体を拭いて服を着せてくれたということだ。