第8章 気まぐれ
ケラケラと二人で笑いながら、何だか五条先輩とこうして何気ない時間を過ごすのはやっぱりとても特別に思えた。
楽しくて、先輩の笑顔も見れて、すごく幸せだ。
そう思ったら私はいつの間にか五条先輩に寄り添っていて、彼の胸元をぎゅっと掴み唇を寄せた。
「何、誘ってんの?」
ニヤリといつものように五条先輩の口角が意地悪気に上がる。
私はそれに「うん」と小さく…そして甘く囁くと、今度は五条先輩の唇へ噛み付くようなキスをした。
「はぁっ…」
甘い吐息が鼻から抜ける音がする。一瞬私の行動に驚いたような顔を見せた五条先輩だけれど、それもすぐに元の意地悪な表情へと戻ると私のキスに答えるようにして口内へと舌が侵入してくる。
甘い味がする。きっとさっき五条先輩が飲んでいたコーラの味だ。
ピチャピチャとまるで子猫が舐めるみたいに私の唇を数回舐めたかと思うと、今度は喉の奥に触れそうなほど舌が奥まで押し込まれてくる。
「んんっ」
五条先輩から与えられた甘い唾液を飲み下し、彼の舌に必死で付いていく。
それでも五条先輩の器用な舌使いについていくのがやっとで、より口を大きく開くようにして先輩が私の顎を掴んだ。
トロリと流れてくる唾液に溺れそうになりながらも、その甘美で美味い味を少しも逃すまいと目一杯口を開き唇を重ねる。