MapleProject〜Happybirthday〜
第5章 白雪美波誕生日特別ss
…
『あの子... なんでなんだろう…..』
『どうしたんですか社長』
オーディションの真っ最中、 難しい顔でつぶやいた社長を訝しげに見る。
『あの青い髪の子なんだけど..』
『えーと...、白雪美波さん、 ですね』
『基本的にオーディション受ける子って「私を見て!」って
スタンスの子ばかりなんだけど...白雪さんは控えめなのよね。
というか、隣の黒髪の子を目立たせようとしてる...?』
そんな話をしていると、オーディションが終了した。
『白雪さん、少しいいかな』
「は、はい!」
「じゃあ、私、外で待ってるね」
隣にいた黒髪の子が白雪さんにそう声をかけ、先に出ていく。
『急に呼び止めてごめんなさいね。 聞きたいことがあって』
「なんでしょう...?」
『貴女、黒髪の子... 春風さんを目立たせようとしてたよね? 面接の時には気にならなかったんだけど、 実技を見てたら少し気になって』
「あ... すみません」
『別に謝る必要はないよ。 ただ、どうしてなのかなと思って』
白雪さんは、言葉に迷ってるように見える。
というより、話すことに不安を感じてるのか...?
『この答えによってオーディションから落としたりすることはないので安心してください。 ですよね、 社長?』
『それはもちろん。 ただ私が気になっただけだから』
それを聞いた白雪さんは、慎重に言葉を選びながらも話し始めた。
「私は、いろは... 春風さんとは幼なじみなんです。
もともとアイドルを目指してたのはいろはの方で…..。
私は全力でサポートだけをしていました。 でも...。
サポートしていくうちにいろははもちろん、
ライバルと言える存在とも出会って、 アイドルいいかもと思うようになりました。
私の一番の目的がいろはをアイドルにすることなのは今も変わりません。
でも、私にもチャンスがあるのなら...私もアイドルになりたい…..!!」
落ち着いた印象からはかけ離れた熱い想いを話してくれた白雪さん。
春風さんをアイドルにしたいという思いはあるのだろう。
しかし、 その目にはアイドルに対する確かな情熱が宿っている。
『そういうことだったのね…..。 じゃあ、貴女自身、アイドルに対する意欲はあるってことでいいの?』
「はい!!」