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白と黒と泡沫の少女【NO.6夢】

第2章 はじまり


私たちの住む街、NO.6。
科学の粋を集めた未来型都市。
四方を特殊合金の壁に囲まれた安全な城塞都市です。

整然とした美しい街並み。
市内の犯罪率は限りなくゼロパーセント。
医療テクノロジーは事故や病気、手術などのあらゆる苦痛の除去を実現!
市民は最先端の医療を受けることができます!

市の中央には巨大は森林公園広がり、四季の豊富な自然を楽しんだり、小動物や昆虫との触れ合いも可能です。

絶望の存在しない聖都市NO.6。
NO.6の未来を支える生徒諸君!
市への変わらぬ忠誠を誓い、勉学に励みましょう!

「市への変わらぬ忠誠を誓います!」

挨拶の後、教師が言葉を続けた。
紫苑が生態学の特別コースに入学が決まったということだった。
ユキはぼーっと聞いている。

「最新設備の教室と専属教師がつくんだろ?」
「一体どんな手を使ったんだよ」

まぁ、こいつは特別コースに進めなかったみたいだけどな。
紫苑に嫌味っぽく話している男子生徒2人がユキを見る。
校内で紫苑とは兄妹としているため、こうして比べる輩も少なくはない。

ユキは面倒なので言わせているが、もっと面倒なのは紫苑の性格だった。
将来が約束されたようなもので羨ましいと言った学生に、紫苑がにっこり笑って言葉を返した。

「ありがとう、頑張るよ。それにユキは今回は降りたんだ、普通のコースがいいって」

その言葉に男子生徒の顔が引きつる。
当の本人は爆弾を投下した事に全く気づいていない。

「あーあ、嫉妬しちゃってみっともない」

沙布の声が聞こえて、ユキがそちらを見る。
沙布の特別コースにも妬み始めた男子生徒が沙布の着ている服に文句をつけ始めたが、強気な沙布に言い返され、ぶつぶつ言いながらその場を去っていった。

沙布の服を褒める紫苑と照れている沙布に近づいて、ユキが沙布の服を掴み柔らかくて気持ちいいと本音を漏らすと、沙布はありがとうと笑った。
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