第7章 青空と曇り空
「アレが【科学学園】か。フランソワ」
「はい、龍水様。本日より蒼音様が羽京様、ルリ様と共に講師として石神村の方々に国語や算数を教えるそうです」
龍水と執事のフランソワが、旧司帝国の広場を遠目に見ていた。科学王国は現在石油を発見し、順調に造船中だ。その最中開設されたのが、新世界の《現代人》達の為の科学学園。龍水が眺めていると、シュッ!とフランソワが何かを差し出した。
「この様な流れもあろうかと。クラフトチームの方に作成して頂きました。どうぞお使いください」
フランソワが差し出したのは、双眼鏡。
「はっはーーー!!流石フランソワだ。欲しいぞこれは!?有難く使わせてもらおう!」
龍水が目をあてて中の光景を見る。プリントを用意して、授業内容の確認をする蒼音。黒板を引き摺って来たり、椅子等を用意する羽京とルリ。そして、科学学園に入学する子供達や金狼など生徒達がわらわらと集まっていた。今日の入学式を前に、皆ワクワクとしている。
ストーンワールドに正確な『時計』は存在しない。だが千空の手にかかれば緯度から日時計を作るなど造作も無い。千空達が【時計台】を作って、鐘の音を時計係に鳴らしてもらっているのだ。現在では船の造船作業の時間の目安でもある。開園時刻の午後一時を前に、集まった面々が初めての【学校】に期待の眼差しを向けている。
《ゴーーーーン……》
「始まるんだよ!?」
「そのようだな」
その場にいたスイカと金狼が鐘の音に反応する。準備万端の状態にした講師がザッ!!と皆の前に左からルリ、蒼音、羽京の順で並ぶ。羽京が第一声を放った。
「みんな、集まってくれてありがとう。本日より科学学園を開園します。それでは最初に、学園長の六道院蒼音より開園の挨拶があります」
その言葉で、一歩蒼音が進み出る。微笑みながらも凛々しい顔つきに、自然と皆の背が伸びる。
「やあ皆。学園長と講師を兼任する六道院蒼音だ。こういう堅苦しい挨拶はどうも苦手でね。というのも私はサボり魔で学校にはほぼ行ってないのだ」
「えっ」
動揺の声を漏らす生徒達。学園長なのに、まさかの学校行ってない発言。しかしそんな生徒達を気にせず、蒼音は続ける。