第5章 ミニオン島へ
「…意外。」
「フフフフフ、ファミリー(家族)だからなぁ」
笑いながら、手を振りかざすその指先からは糸が見える。
「ふん!」
手に武装色を纏い、糸を弾き落とす。
なるほど、糸を使う悪魔の実なのね。
「ファミリー(家族)ね…」
その家族とやらにロシナンテは含まれていないのだろうかと首を傾げたくなる。血を分けた兄弟だろうに。
戦い慣れてそうな能力を見て、出し惜しみしてる場合じゃないかも知れないと思い直す。
「ロシナンテ。引き受けるよ。5割。」
「だ、めだ…」
後ろに居るロシナンテに触れ、彼のダメージと疲れを5割自分に分ける。文句ありありな顔を向けられるが知った事では無い。
怪我はそのままだが少しは楽になるだろう。
そのかわり自身にとてつもない全身の痛みと倦怠感が襲ってくる。
どれだけ無茶したんだろうか。
どれだけこいつらに痛めつけられたのだろうか。
ロシナンテの痛みを感じながら、同時に怒りが湧いてくる。
間に合って良かった、いや、もっと早く辿り着くべきだった。
痛みを抱えながらも、ドフラミンゴが繰り出す糸を避けずに弾き落とす。
避けたら後ろのロシナンテに当たってしまうからだ。
「ホントに、海賊の手本みたいないい性格してるわ。」
「フフフフフお褒めに預かり光栄だなァ」
「褒めてねぇよ…」
分かっててやっているのだろう。
避けられない事を。私は糸を弾き落としながら近づくチャンスを窺う。
「オーバーヒート!」
来た。
ドフラミンゴが大きく振りかぶり、糸をより集めた太い鞭のようなものを繰り出す。
熱をもつそれを掴み、引き寄せながらドフラミンゴに向かって踏み込む。ジリジリと掴んだ手のひらが焼けるが構わない。
「10割…!」
鞭を掴んだ手とは反対の手でドフラミンゴの腹部を渾身の力で殴りつけると同時に、自分の抱えるダメージと疲れを全て押し付けすぐにまた距離を取る。
「…能力者か…」
「はぁ、はぁ…」
ダメージは通ったようで、腹部を片手で押さえながら睨みつけてくる。
そのまま畳み掛けるように、足技を繰り出す。
「!!」
ドフラミンゴに全てのダメージと疲れを押し付けたので私は身軽だった。
片付けるなら今だ。
と、思ったのだが。
「ベトランチャー!!!」