第8章 音楽家と華(FILM REDネタバレあり)NO SIDE
───NOsde
??年前
そこは偉大なる航路(グランドライン)後半の海、新世界と呼ばれる海域のとある無人島では、もう何度目かのロジャー海賊団と白ひげ海賊団の戦いがあった。そして何日間もの戦闘の末に今回も勝敗はつかず、そのまま宝の奪い合いという名の交換を兼ねて両船の盛大な宴が開幕した
「「ヨホホホ〜、ヨホ〜ホ〜ホ〜♪」」
「まだまだお酒持ってこんかぁぁああい!!」
「はははっ!おっと、料理が少ねえ……もっと作らねぇと!!」
双方は敵も味方も問わずに仲良く会話の輪を作り、肩を組んで『ビンクスの酒』を歌って揺れる者達もいれば、全くないお酒が足りないと叫ぶ酔っぱらい達、そして互いの冒険譚と愉快な日常を語っては楽しむ若い連中や酒豪、笑いつつ食事の減っていく量に血相を変えて自船に出たり戻ったりしながら料理を作っていく料理人達……。両者なんとも賑やかに楽しむその光景を、少し離れたスペースにいた両船の船長であるゴールド・ロジャーとエドワード・ニューゲート、さらにロジャーの右腕謙副船長のシルバーズ・レイリーとニューゲートの兄弟分である光月おでんが酒を飲んだり、その隣では妻のトキが息子の赤ん坊・モモの助を抱いてあやしながら微笑を浮かべる
まさに飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎ。海賊も、おでんに付き従っている侍達も、みんながみんな大盛り上がりしていた時だ。ロジャー側の見習い・シャンクスが小さな子供を縦に抱え、同じく見習いのバギーと一緒にドタタタッと駆け込んでくる
シャンクス「ろ、ロジャー船長!!」
バギー「どハデに大変だ!がぜんっぜん泣き止まねぇ!!」
「あ゛あ゛あ゛ぁぁぁっ!!グスッ……ふぁぁんっ、びゃあ゛あ゛あ゛っ!!」
ロジャー「なっ……なぁぁにぃぃっ?!」
涙目で救いを求める見習い二人と、シャンクスに抱かれて身を捩って全力で大泣きしている1歳の女の子。彼らは宴のど真ん中を走って来ていて、すれ違う海賊達・侍達もなんだなんだと後ろをついて来る。そして二人に呼ばれたロジャーは状況を知った途端、血相を変えて自らもお酒の注がれている杯を置いて一瞬で駆けつけるとその女の子を高く抱き上げる
ロジャー「おお〜、よちよち!どうちたんでちゅか〜、ちゃ〜ん?」
「びえぇぇぇっ!!」