第5章 鬼の子達よ、達者にあれ
一応バリエーションも豊富らしくて一直線に突き進む斬撃を放つ「線」、相手の頭上から巨大な斬撃を打ち下ろす「白雷」、体ごと回転させた遠心力を利用して特大の斬撃を巻き起こす「周断」等がある
というわけで、それらを合わせた奥義が『六式』なのだとか。加えて、六式の全てを極限まで高めた者のみが使える究極奥義・六王銃(ロクオウガン)がある。両手の握り拳を相手に当て、衝撃貝(インパクトダイアル)の何倍もの威力に匹敵する衝撃を相手の体内に送り込む。 防御不可能な正に一撃必殺の技
そんな世にも恐ろしすぎる体技があると聞き、私は思わずスンッと真顔になった。小声でボソリと「何それこっっっわ……」と呟いてみれば、「お前が一番末恐ろしいわい」とツッコまれた。確かに全集中の呼吸と六式は相性が良い、鍛え方次第では更なる速さと無敵貫通も夢ではないのかも……
そしてもう一つの戦闘術、『覇気』とは全世界の全ての人間に潜在する力。「気配」「気合」「威圧」などの感覚と同じだが、引き出すのは容易ではない。大半の人間は気づかないまま、あるいは引き出そうにも引き出せず一生を終えるという。これは覇王色・武装色・見聞色という3種類の「色」が存在し、いずれも強化すればできる事の幅が広がる。覇気使いの多くは得意な「色」の力が片寄るが、得意でない色も習得自体は可能だけど、3種類の中でも覇王色はごく稀であるらしい
まずは武装色の覇気(ぶそうしょくのはき)。体の周囲に見えない鎧のような力を作り出す覇気だ。より固い『鎧』は防御だけではなく、攻撃にも転用できる。実体の無い自然系能力者の流動する体も実体をとらえて攻撃できるため、物理攻撃を無効化するような能力者に対しては、弱点をつく事を除けばこの覇気が唯一の打開策になるらしい
そして見聞色の覇気(けんぶんしょくのはき)。相手の気配をより強く感じる覇気。この力を高めることで、視界に入らない敵の位置・数を知り、また敵が次の瞬間何をするか先読みする事ができる
そして最後、問題の覇王色の覇気(はおうしょくのはき)。これは数百万人に1人の「王の資質」を持つ者しか身につけることができない覇気。周囲を威圧する力であり、発動すると、圧倒的な実力差がある相手を気絶させる。この世で大きく名を上げる様な人物は、この力を秘めている事が多いという
