第15章 昇級と新部隊、結成
そして地面や空気を震わせる大爆笑。かなりのボリュームであった為、双方の船員達や中央で歌っていたウタも全員が二人に注目する。写真は新聞が届いた当時に白ひげ海賊団でも大きな話題となっていて、ガープと一緒に映った愛らしい少女に船員達が全員色んな意味で大騒ぎ。
写真の背景にヒューマンショップだったと思われる建物の瓦礫、慌しそうに動き回ってる海兵達も写っているが、売人だったと思しき大人数の山を手押し出来る3mの牢屋に突っ込んで運ぶ中将の二人。一人は数々の武勇伝を語られて来たガープだったので驚くことも無かったが、は体躯に見合わぬ怪力であった。これには若手が「敵でも可愛い」と顔をデロデロに蕩けさせ、古参のメンバーは何処か懐かしむ者、ポカンと呆ける者、顔を引き攣らせる者が様々だ。
ヒューマンショップ壊滅事件……それは概ね記事の通り、海軍中将二名による大捕物の甚大な被害を指している。ヒューマンショップとは人間屋と呼ばれていて、文字通り人身売買で人間や珍しい種族のオークションが盛んに行われている。当然ながら世界的に禁止される犯罪で政府や海軍は存在を認知しているが、「職業安定所」と称して事実上黙認している。対象人類は犯罪者及び世界政府非加盟国民としている。そんな場所を悉く壊した彼らは只管「あれは偶然」と豪語しているらしいが、果たして偶然でヒューマンショップのみが全部潰れるだろうか?死傷者ゼロですむのだろうか?
ニューゲート「ガープの野郎は相変わらずだァ、そりゃあこーなるわな!!知らねぇ間にあの娘っ子、えらく成長してるじゃねぇか!!」
シャンクス「ああ、何でも弟分が三人出来たらしくてな!ちゃんと覇気も六式も使えて妙な剣技も使えてよぉ、戦いのセンスはかなりのもんだ!」
ニューゲート「ほう?それなりに強く鍛えられてるみてぇだなァ、しかしこりゃあ……」
一層機嫌が良くなって大声で高笑いする白ひげは、かつて白鯨に置いた好敵手(ライバル)だった男の幼かった娘の姿を思い出しては懐かしんだ。そして写真の小柄なままでも確かに自分が知ってる頃より成長している、弱々しい見た目に反した強者ぶりは白ひげにとって流石の一言に尽きた。けれども写真の中で怒りを込めた綺麗な笑顔を見せる娘に、白ひげはポツリと呟いた。
「難しい生き方してやがんなァ」
