第4章 前世と今世
そして私はこの戦闘の勝利をきっかけにして、鬼殺隊の中でも上位の位となる『柱』に昇格……。皆からお館様と呼ばれる一番上の立場・産屋敷輝哉様にお呼ばれし、正式な任命を受けた時から淡柱と呼ばれた。そこからは昇格してから一番経歴が長い、『岩柱』の悲鳴嶼さんに次に長い柱となって多くの隊士に慕ってもらったのだ
ちなみに日輪刀は、別名色変わりの刀と呼ばれて自分に適正のある呼吸に合わせた変化をするけど、私の刀は判断が難しく珍しい黒色に変化した。思えば、ある意味この色こそが私の適正を表していたんだろう、言わば全ての呼吸の派生にあたるのだから……
そんな鬼と奮闘をし続けていたある年、本能で人間を食喰らうしかない鬼の常識を覆す存在が現れた。その子は鬼舞辻無惨によって鬼に変えられたものの、奴の支配と本能を理性と感情で押し留め、一度も人間を喰らうこと無く支配や弱体化さえ流れて来たらしい……。そんな人間だった頃を忘れぬ鬼の名前は禰󠄀豆子ちゃん、そして鬼になった妹を人間に戻す為、鬼殺隊に入って一緒に戦う少年、兄の竈門炭治郎くん……
この兄妹との出会いを境に、十二鬼月でも三人分の力を有する上弦の鬼との戦いも始まり、私達は色んな仲間が犠牲になっても立ち止まらずに歩んでいく。その死を悼んで悲しんだ後には、託された意志と悔しさをバネに強さを求め、自分も誰もこれ以上の不幸が続かないように、苦しみながらも平和な明日を求めて足掻いていくしかなかったから……。それは竈門兄妹に加えて彼らの同期、嘴平伊之助くんや我妻善逸くん達も一緒で、彼らはみんな確かな実力と信頼を私達に沢山証明してくれた……
それから明らかになっていく鬼殺隊の起源、実力者のみ寿命を引き換えにして力を得られる痣の事、禰󠄀豆子ちゃん以外にも理性を保てた医術を心得る女性と助手らしき少年の存在……。鬼舞辻の『死』を恐れてる臆病さ、青い彼岸花を探している事、太陽の克服や圧倒的な強さと『生』への執着心……
その全てから因縁を絶つべく、どちらともなく始まっていった最終決戦。私達は大勢の一般隊士や、8人居たはずの柱から多くの犠牲を出しながらも、上弦の鬼達を倒しきって鬼の元凶・鬼舞辻無惨を討ち取ったのだ
そうして私は痣で寿命を迎え、片手片足の欠損と心臓や肺の負傷によって亡くなった。これが前世で私や仲間達が辿った人生だった───
