第13章 里帰り
そこで百連戦が終わった三人を目の前に集め、取り敢えず真面に試合が出来ていたサボとエースにしっかり褒めて、短所とアドバイスなんかも伝えていく
「まずはサボね。最後に見ていた時より全集中の呼吸が上達してるし、それにともなって全身の筋肉が丈夫になって柔軟性も上がってる……。後は冷静に相手の動きや癖を見ること、サボは三人の中でもそういう観察眼が冴えてるようだしね。実戦さながらの勝負を意識して、戦い方が時々崩れちゃってるからね。相手の無防備な隙を見抜いての攻撃、防御してからのカウンターも出来るようにならないと……」
サボ「へへへっ、わかった!」
「それから次にエース、貴方は戦闘中に大きな動作や隙が目立ってしまってるわ。なるべく最小限で無駄のない動きを意識すること、筋力も俊敏さも十分鍛えられてるし、長所は効率よく活かしていかないとね。エースはまだまだ荒削りだけど持久力があるし、サボと一緒に修行の難易度を上げていこう。全集中の呼吸の常中もそうだけど、武装色と見聞色の覇気も教えておこうかな?」
エース「えっ、教えてくれるのか?!」
サボ「えっ……はははっ!!やったぞエース!頑張ろうな!!」
そろそろ修行で新しく教えてもいい頃合いと思い、素質に左右される覇王色は無理でも他の二種類に加え、全集中の呼吸の常中を教えていきたいと告げればエースもサボも大喜びだ。二人は嬉しそうな笑顔でやる気十分にハイタッチして大騒ぎ、きっと筋が良くて向上心が高いので数年経てば更に強く成長するだろう。教える側がとても楽しみになるタイプだと思う
そうして気分が舞い上がっているエースとサボは一旦置いておき、どんよりしょんぼり落ち込んでいるルフィの相手だ。私は顔を俯けている末弟の脇に手を伸ばし、小さく「わっ」と驚くのを他所に抱き上げた
「大丈夫、ルフィにはちゃーんと筋肉も体力もついてるよ。ただ問題は、体と力の使い方が分かってないんだよ。もっと足腰で踏ん張るように鍛えていけば無意識に出来るだろうし、そしたら今度は全集中の呼吸かな?」
ルフィ「えっ、オレにも出来るのか?!よっしゃあぁ!!」
案外すぐに立ち直ったルフィは瞳を輝かせ、エースが喧しそうに呆れてサボが「良かったなぁ」と笑っていた。けれど僅か数時間後、彼らは屍になっていた