第1章 夢の始まり
ぐんぐんと腕に引っ張られ、気づいたら船の上だった。
船の上ってか、ルフィの腕の中。
「「「ぎゃーーーー!!!!ルフィ!!!なにやってんだ(のよ)!」」」
「せっかく海軍から逃げてきたってのになぁに海軍拾ってきてんだ!」
甲板にいたルフィの仲間が大声を出す。
そりゃそうだ。びっくりするに決まってる。
ルフィは腕を緩めると、ボクの顔を覗き込む。
「やっぱりだ!!!だよな?」
「なんだ?知り合いか?」
「知り合いってかそいつさっき処刑台を切ったヤツだろ」
緑の髪をした人がボクを指差す。
見られてたか。
「なーんだ!さっき助けてくれたのだったのか!」
ありがとなぁ!と笑いながら頭をガシガシと撫でてくる。
ってか、頭には海軍の帽子を被ってるんだけどね。
「…よく、ボクだってわかったね。」
実に会うのは5年ぶりだ。
12歳から17歳になった。身長だって伸びたし体格を隠すために海軍のジャケットを羽織ってる。顔だって帽子をいつも目深に被ってた。
でもルフィは核心を持ってボクを捕まえた。
「分かるよ。どんな格好してたってすぐ分かる。」
「…」
「だってオレはお前の兄ちゃんだもんな!!」
「「「えぇー!?!?」」」
お仲間さんたちがびっくりしてる。
そりゃ海賊の兄弟が海軍だったら驚くかもしれない。
それより、5年ぶりに再会したルフィがすぐに気付いてくれたのが嬉しい。
「まぁ、とりあえず積もる話もあるだろうし…船の中に入ったらどーだ?雨すごいし」
黒いスーツを着た金髪の人が声をかけてきた。
そういえばすごい雨だ。
船の中に入ると、ほらよとお茶を出される。
-紅茶飲めないんだよなぁ
出されたからには申し訳ないから飲むけど。
「!今まで何してたんだ?」
ルフィは目の前に座らないですぐ横に座ってニコニコしている。
「あ、、!荷物!!」
ルフィにいきなり連れてこられたショックで忘れてた。
せっかくまとめておいたのに。
「せっかくまとめておいたのに!置いてきた…!」
「えぇー?!いーじゃんかぁ。オレはに会えて嬉しいぞ」
「あ、ありがとう。ボクもめちゃくちゃうれしい」
嬉しいけどそれとこれとは話が別だ。