第6章 第五話 復活の葉
―――――自分があの時止めてしまったから。
だから、父さんの思う通りにしてあげるの。
そう言ったエルダはとても辛そうに表情を歪ませた。
「エルダ」
行くぞ、と声がする。
どうやらフレイが目を覚ましたようだった。
彩音と不二も一度顔を見合わせ、スキー板を手に取った。
「!」
「なんだ…。ん?」
先を走っていた不二が立ち止まると、フレイが声をかけてくる。
前方の木々の間から、3人組が出てきた。
女が1人、男が2人。
「私達、道に迷っちゃって」
「へへ、一緒に行ってもいいかな?」
宿の女将から聞いた話を思い出し、彩音は旅人かな?と考える。
しかし不二は黙ったままだ。
「ちょうどよかったわ!こんなところで迷っちゃって、どうしようかと思ってたの」
困ったように言った女の服装は、とてもじゃないが登山者とは思えない。
かと言ってここは今、異常気象が起こる危険な地のはず。
「暗がりで、道が分からなくなってしまってねぇ」
「あぁそうとも。道に出られればそれでいいんだ、邪魔はしねぇ」
ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべる男たち。
不二はス、と右手を上げた。
「イノセンス、発動」
キン!とその手にグングニルが出現する。
周助!?と彩音が叫ぶと同時に、何故バレた、と3人組はAKUMAへと姿を変えた。
慌てて彩音もイチイバルを発動する。
AKUMAの姿に悲鳴をあげたエルダに、下がって!と声をかけた。
「周助、どうして分かったの!?」
「本当にAKUMAだとは思わなかったけど、少し驚かそうとしただけだよ」
AKUMAじゃなくても、十分怪しかったしねと笑みを浮かべながら言う不二に、彩音は曖昧に笑い返した。