第6章 第五話 復活の葉
アレンたちが入団してから1ヶ月ほど経った、とある日の朝。
修練場で組み手をしている二人組がいた。
「…っは!」
「そんなものか…!」
不二から繰り出される攻撃を、難なく流して挑発する神田。
挑発と分かっていても引けない時もある、不二はニヤリと笑った。
少し離れた所では、ユキサと彩音が2人を見ていた。
「やっぱり神田は強いよねぇ」
「普段から鍛えてるだろうしね」
押され気味の不二を見ながら呟いた彩音に、ユキサも同意する。
ユキサと彩音も、先程までは鍛錬をしていた。
3人ともイノセンスは扱えるようにはなった。
しかし元からAKUMAと戦っていたユキサはともかく、彩音と不二は元は一般人。
特に運動部だった不二に比べて、彩音の方は運動が得意ではなかった。
この世界に飛ばされて少し体質が変わったようだが、まだまだ戦うには体が出来ていなかった。
ドサ、と音がし、不二がその場に膝をついた。
「ハァ、ハァ…」
「今日はここまでだな」
くるりと背を向ける神田に、容赦ないなぁと不二は呟く。
神田と組み手をしてから、不二はずっと感じていた事があった。
「(攻めるは向いてないんだよな…)」
元々筋肉がつきにくい体。
元の世界でテニスをやっていた時もそうだった。
「(戦い方を変えないといけないかもしれない)」
「お疲れ、周助!」
座ったまま考え込んでいる不二に、彩音がタオルを持って近づいてきた。
ありがとうと受け取り、起こそうと差し出された彩音の手を掴む。
ユキサはというと、不二にお疲れと声をかけた後、神田の元へ…。
「神田、お疲れ様」
お前もなと言われ、ユキサは頷いた。
鍛錬も終わり、4人が修練場を後にしようとした時だった。