第5章 第四話 黒の教団壊滅事件!?
涙を流しながら伸ばすユキサの手を、思わず掴んでしまった神田の手は既に離れている。
起きて軽く身だしなみを整えたユキサに、神田が大丈夫なのかと声をかけるが、本人は問題ないと答えた。
「ユキサ」
神田と共に部屋を出ると、隣から声がかかる。
見るとそこには不二と彩音の姿が。
「小鳥遊さん!」
駆け寄って、ユキサが心配そうに顔を覗き込んだ。
怪我はありませんでしたか?と言われて、彩音はこくりと頷いた。
ホッと安心したような表情をするユキサに、彩音がありがとうと伝える。
「それじゃぁ、食堂に向かおうか」
アレンもすでに向かっているはずだ、と不二は言った。
ざわざわと騒がしい食堂。
そこには様々な料理がたくさん並び、団員たちに溢れている。
「あ、きたきた!」
4人に向かって、リナリーが手招きをしていた。
彩音と不二はリナリーの元へ歩き出すが、神田は静かな端の席に移動しようとする。
が、気づいたユキサが手を掴んで引っ張った。
おい!と咎めるような言葉を無視し、ユキサは楽しそうにリナリーの元へ。
「アレンくんにも話したところなんだけどね。ほら、4人の歓迎会、まだだったでしょう?」
ス、とリナリーが指を差した先には、4人の名前とWELCOMEの文字が横断幕に書かれていた。
「遅くなったが、ようこそ黒の教団へ!」
ユキサとアレンには、初任務お疲れ!おかえり!という声もかかった。
アレンは、うっすらと目に涙を浮かべ、ただいま!と嬉しそうに叫んだ。