第4章 第三話 災いを呼ぶもの
「やあ!君たちが、彩音ちゃんと不二くんだね!」
ヘブラスカの元へ向かう途中で、コムイと会った。
人当たりの良さそうな笑みを浮かべるコムイに、彩音と不二は簡単に挨拶をする。
「君たちのイノセンスも、ヘブラスカに見てもらわなければならないんだ」
それが決まり。
少しだけ不安そうにしている彩音に、経験者のアレンが苦笑した。
「大丈夫です。最初は驚くかもしれませんが、すぐ終わりますから…」
その言葉に、彩音と不二は不思議そうに首を傾げていた。
「おかえり。アレン・ウォーカー」
パッと嬉しそうな表情をし、アレンがただいま!と言った。
彩音と不二はヘブラスカの姿に当然のように驚いている。
自分たちの力を調べる、という事は研究所か何かで調べられるのかと思っていたからだ。
AKUMAや不思議な力はもう見慣れていたため、今更ヘブラスカのような姿にはそこまで驚きはしなかったが。
アレンの持ってきたイノセンスが、ヘブラスカの元へふわりと飛んでいった。
次に元帥が戻るまで、イノセンスはヘブラスカが預かる。
アレンの師であるクロスを含め、元帥は5人おり、任務がてらイノセンスの適合者探しもしているという事だった。
彩音と不二が話を聞いていると、さて…とヘブラスカが白い触手のようなものを伸ばしてきた。
驚いて一瞬身構えた2人だったが、優しく包まれながら持ち上げられ、暴れる事なく黙っている。
先程アレンが言っていた言葉のおかげだろうか。
しかし次の瞬間、体の中を探られる感覚に2人の表情が歪んだ。
「あっ…!!」
「くっ…」
押し寄せる不快感に耐える2人を、少しだけ不安そうに見ているアレン。
程なくして、2人の体がゆっくりと降ろされた。
大丈夫ですか?と声をかけられ、2人はゆっくりと頷いた。
「小鳥遊彩音、そして不二周助と言ったか…。お前たちのイノセンスは、装備型のようだな」
「装備型?」
教団の知らない所で、装備型のイノセンスを持つ者が現れるなんて。
ユキサといい、この2人といい、一体何者なんだ…。