第22章 第二十一話 第三使徒計画
少女がそう言った途端、アレンの目から血が流れる。
アレン!?と彩音が駆け寄った。
大丈夫ですと返事を返したが、アレンの顔色は酷いものだった。
「5キロ先でレベル4を数体確認した。我々も疲弊している。退くぞ」
マダラオの言葉に立ち上がり戻ろうとしたアレンたちだったが、トクサがアレンへと話しかける。
目から流れた血を見たからか、AKUMAは苦しんでいましたか?と。
『見物できるあなたがうらやましいな』
その言葉を聞いた瞬間、アレンがトクサへ左腕を振り下ろした。
ガィン!とトクサがそれを受け止める。
「…どう思おうが貴方の勝手ですけど、それ系、僕には『禁句』なんで、ヨロシクお願いします」
「じゃあ『思うだけ』にしておきます」
ぎりぎりぎりと、笑いながら攻防を繰り広げるアレンとトクサ。
しかしマダラオの威圧を感じ、トクサがアレンに失礼しましたと言った。
「どうも私、使徒さまを見るとイラつ…AKUMAを滅すると気分が浮かれてしまって…」
「「「(今イラつくって言った…)」」」
「己の身が神への糧となれる喜びに、心が震えるのです」
本当に嬉しそうに、そう言ったトクサ。
しかし次の瞬間、そのトクサの両腕が静かに斬り落とされた。
「!?」
「よう。ひさしぶりだね。少~年♪」
「ティ、キ…!!!」
トクサの腕を斬り落とした張本人、ティキが楽しそうにアレンを呼ぶ。
彩音と不二がバッとイノセンスを構えた。
ズズズ…とティキの後ろから、別のノア2人も現れる。
たいした用じゃねぇんだ、ただのエクソシスト狩りと、ティキが不気味に笑った。
同時刻、各地のエクソシストたちの元に、同じくノアたちが姿を現した。
「はぁ、はぁ…っ!」
少女と老人を安全な場所で護羽を置いて、アレンたちはノアから離れた。
トクサの傷口が気になってアレンが近づこうとしたが、触るな!とトクサに怒鳴られる。
ノアを前にして逃げるなんて…とトクサは悔しさに唇を噛み締めていた。
「手当てが先です!その傷じゃ戦えないでしょう。早く陣営に戻らないと」
陣営に戻ればユキサがいる。
しかしトクサが戻らない!と否定した。