第22章 第二十一話 第三使徒計画
「え?新入りのエクソシスト…?」
「うん。私は気を失っていたから、知らないんだけど…」
修練場への道を歩きながら、ユキサが彩音に問いかけた。
神田から自分が気絶していた時の事を聞いた。
あの孤児院での戦いの時に、レベル3のAKUMAを倒したエクソシストがいて、アレンと神田がそれが誰なのか気になっているとユキサが言った。
あー…あれね、と彩音があの時の事を思い出す。
「私は詳しく知らないし、名前もよく聞こえなかったけど…『鴉』みたいだよ?」
「……鴉」
「そういえばあの時、リーバーさんの護衛として来てたって言ってたよね。確かフェイ補佐官が呼んだ中央の衛兵とかなんとか言ってたような…」
鴉については前回神田から簡単に聞いた。
しかしエクソシストでもない限りAKUMAを倒すことは不可能だ。
それなのに鴉がレベル3を倒したという。
「リンクなら何か知ってるかもね~知り合いみたいだったし…」
そう言いながら到着した修練場のドアを、彩音が開けた。
後ろを歩いていたユキサはぴたりと足を止める。
自分は実際見たわけではないから分からない。
だが吸い込まれるように消えたレベル3。
そして戦闘能力が高かろうと人間である鴉がAKUMAを倒した事。
「…まさか」
ユキサの脳裏に、ロシア帝国の研究所での出来事が浮かんだ。
「周助!神田!…って…」
「やぁ、彩音たちも来たんだね」
不二が言いながらにこやかに笑うが、彩音が周りを見て顔を引き攣らせた。
不二と神田の周りには、ぐったりした団員たちの姿。
「皆で鍛錬してたんだ」
「鍛錬っていうか、ほぼ一方的じゃない…?」
「フン、歯ごたえがない奴らだ」
「ねぇ神田」
呼ばれた神田がユキサの方へ振り返った。
とんとんと足で地面を叩き、じっ…とユキサが神田を見る。