第21章 第二十話 14番目
もしあの時、少しでもタイミングが違えば…。
ティモシーがいない時ならば、あの子がイノセンスを飲み込む事はなかったのではないか。
「エミリアがティモシーを引き取ろうと言ったが、あのオデコを見るたび申し訳なくて、俺を恨んでる気がして、ここへ預けた」
なんとか見逃してほしい、あの子を連れて行くのは…。
「俺が、今度こそ傍にいてAKUMAからティモシーを守る!!」
「パパッ…!」
「ガルマー…それは…」
「ムリ(かな?/でしょう/だな/です…/だね/よ/だって)」
アレン、リンク、神田、彩音、不二、エミリア、ティモシーの言葉が見事に被る。
そんなダメ出ししなくたって…!とガルマーは静かに涙を零した。
「その心意気はくむんですけどね…」
「一般人にAKUMAは倒せないから…」
「あなたがそばにいてもなんの役も立たないと思いますが?」
「リ、リンク!もうちょっとオブラートに!!」
「つか懺悔なら教会でやれ」
アレンたちの会話をよそに、ティモシーが小さく笑った。
オレ怪盗Gだけど逮捕しなくていいの?とガルマーに聞くが、お前みたいなちびっこを逮捕できるかとガルマーは言った。
その言葉を聞いて、ティモシーが決心したように口を開く。
「そんならでてこっかな、オレ」
え!?とエミリアとガルマーが驚きの声を上げた。
院長もトシだし、チビ共もまだチビだし…AKUMAとか刺激強すぎじゃん?
ティモシーが明るく言う。
自分が狙われている、そんな自分がここで残ってしまったら…。
今回の事でそれが強く分かったのだろう。
おまえらの仲間になってやるぜ、黒づくめ!とティモシーが言った。
「オレはティモシー…ハースト!9歳、イノセンスはAKUMAを武器化する『憑神』。ドカンと暴れてやってやるぜ、エクソシスト!」
「ティモシーくん…!」
孤児院を見上げながら名前を言ったティモシーの言葉を聞きながら、これからよろしくね!と彩音が言う。
対してティモシーも笑顔を向けたが、た・だ・し!と一瞬で悪い顔になる。
そうして続けてティモシーが言った言葉に、アレンたちは引き攣った表情をし、コムイに同情したのだった。