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【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第3章 第二話 マテールの亡霊


「…デカい人形を運んで逃げるには無理がある。巻き込んですまないが、その心臓を頂きたい」
「待って!逃げられないのなら、隠れればいいわ!」

かちゃり、と刀を構えた神田の前に出たのはララだった。
お前はなんだ?と問う神田に、グゾルが人間に捨てられていた子供だ、と慌てたように答える。
そのグゾルの様子を真剣な表情で見てる彩音を、不二は少し不思議そうに見つめていた。

隠れると言ってもどこに…と言った神田の首元から、突然ゴーレムが飛び出した。
トマからの通信だ。

「遠くから見ていましたが、先程大きな衝撃音があって、ウォーカー殿とユキサ殿の安否は不明です」
「!?」

トマの言葉に、バッと振り向いたのは彩音と不二だ。
神田がそんな2人を訝しげに見ていると、トマが敵が動いた事を報告する。
ティムキャンピーがAKUMAに追われている事を知ると、神田は自分のゴーレムを向かわせるからティムと共に一度戻るようにと指示を出していた。

その横で、グゾルとララが何やら話しており、こっそりと彩音と不二にも近づいてくる。
地下へ隠れようと誘ってきたララに、彩音と不二には少しだけ気になる事があったのだが、着いていく事にした。
ゴーレムをトマの元へ飛ばした神田が振り返った時には、4人の姿はそこにはなかった。

「う…」

崩れた瓦礫に埋もれていたアレンが目を覚ます。
徐々に覚醒してきた意識に、ハッとアレンは辺りを見回した。
静まり返っている周囲に、AKUMAがこの場には居ないことを悟る。
少し歩いた所に倒れているユキサに駆け寄った。

「大丈夫ですか、ユキサ!」

軽く揺するとゆっくりと目を開いた。
ホッとするアレンに抱えられながら、ユキサが辺りを見回す。

「この辺りにAKUMAはいないようです。もしかしたら神田たちのところへ…」

急がないと、と立ち上がったアレンだったが、ふらりと体が傾いた。
慌ててユキサがアレンへと駆け寄り支えると、すみません…とアレンが謝罪を口にする。

ぐっ…と、アレンを支える手に、力が入った。

「ユキサ…?」

不思議に思ったアレンが問いかけると、ユキサが口を開いた。

「……ノ、セン…ッ、はつ、どう!!」
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