第21章 第二十話 14番目
「うん、準備オッケー!」
そんなに多くない荷物を持って、新しい団服を身に纏った彩音が頷いて部屋を出た。
本日はロンドンで任務をしながら、新しい本部へと引っ越しをする日だった。
半年ほどお世話になったこの教団本部…。
周りを見ながらゆっくりと廊下を歩く彩音の耳に、名を呼ぶ声が聞こえた。
「彩音」
「周助!おはよう~」
パァッと笑顔を見せた彩音に不二も自然と顔が綻ぶ。
新しい本部はどんなところだろう、またあの庭園のような場所はあるかななど他愛のない会話をしながら階段を降りると、ちょうど部屋から出てきたユキサを見かけた。
「ユキサ!」
「! おはよう、彩音、不二」
2人に気づいたユキサも小さく笑みを浮かべながら挨拶をする。
そのまま3人は食堂へと向かった。
食堂に入るとジェリーに注文して朝食を受け取り、いつも通りの席へと座る3人。
そこにはもちろん、既に朝食を食べている神田の姿もある。
「おはよう神田。今日も鍛錬してきたの?」
「あぁ」
「こんな日にまで鍛錬とは…さすがだね」
「お前ももう少し体を鍛えろよ」
ユキサの言葉に短く返事をした神田は、続いた不二の言葉にそう返した。
体は維持できているから大丈夫だよと答える不二。
神田と違って細身の不二は体力も筋肉もつきにくく、これ以上は成長が見込めないと感じた。
だから今の身体状態の維持だけしているのだ。
もちろん、技の練習等もしているが。
「そういえば、新しい団服皆よく似合ってるね」
「周助はまた神田と同じものなんだね?」
「うん。この型じゃないと落ち着かなくって」
ジョニーに言われるまま色々試着してみたものの、やはりしっくりきたのが神田と同じデザインのもの。
着慣れたもののほうが戦いやすいと、不二は選んだ。
「ユキサは前と同じようなデザインだけど…スカートはリナリーと同じなんだね。後ろにリボンついてるけど」
「うん。背中が空いてる分、ちょっとだけアクセントを入れたくて」
「……中はちゃんとはいてるんだろうな?」