第20章 第十九話 黒の教団壊滅事件再び!?
「そっか。ユキサのところには神田が…」
「うん。少しはキッカケになると良いんだけどね」
なんの、とは言わない。
不二だってユキサの幸せを願ってくれているのだ。
しかし彩音は前にユキサから事情を聞いているので複雑な表情をしている。
―――――神田には想い人がいる。
「どうかしたの、彩音?」
「ううん、なんでもないよ」
不二に感づかれないようにと彩音がにっこり微笑んだが、不二は彩音の頭の上を見ていた。
うさぎ耳がしょんぼりと垂れている。
クスリと不二が笑った。
「耳は正直みたいだね?」
「え…!あ、いや、これは…」
わたわたと焦りだす彩音のうさぎ耳に、不二が触れた。
一瞬ビクリと体を震わせ、彩音が不二を見上げる。
「周助…くすぐったいよ…」
「…ふふ。くすぐったいだけ?」
んっ…と彩音が声を漏らす。
ユキサの猫耳や尻尾もそうだが、動物の耳や尻尾は敏感なものだ。
少しずつ紅潮する頬に不二が触れて、顔が近づいてくる。
抵抗する事もなく受け入れた彩音を愛おしく感じ、不二はその体を強く抱きしめた。
「んっ…ふ、ぅ…」
触れる程度のキスでさえ経験の浅い彩音は、その深い口付けに上手く呼吸が出来ない。
酸素を取り入れようと口を開けた瞬間を逃さずに不二が舌を入れ、口内を侵す。
彩音の呼吸が苦しくなってくると、不二がゆっくりと唇を離した。
息を整えるまもなくベッドへと彩音は押し倒される。
「しゅ、周助…?」
「…あぁ、可愛いね、彩音…」
熱のこもった鋭い眼差しに、彩音がぞくりと体を震わせた。
待って…!と体を押した手に不二は指を絡ませて、ベッドに縫い付ける。
そのまままた深く口付けた。