第19章 第十八話 本部襲撃
はあはあと息をついて折れた木刀握りながら、アレンがもう動けないと座り込んでいる。
口程にもないなモヤシと神田がニヤリと笑った。
「さすがです神田…やっぱり剣だと敵いませんね」
「当たり前だ。さぁ、丸刈りになってもらおうか」
「あ、神田。油断しない方が…」
隙を見せた神田に言ったユキサだったが、その言葉が届く前にきらんとアレンの目が光る。
「やだなぁ…まだ『まいった』とは言ってないでしょッ!!」
「ッテメェ!!」
ガッとアレンが神田の腕を足で掴み、そのまま後ろへ叩きつけた。
そのまま殴り合いに発展し、彩音があーあ…と呟く。
ラビがジョニーに説明をした。
「やー…はじめはただの剣術稽古だったんだけどさ。あの2人、ミョーにイライラしてて…」
「テメェ、ヘバったフリしてやがったな!!」
「騙し討ちも立派な戦法です」
「もう死ね!この似非紳士野郎!!」
「師匠が似非者なので。というか神田は甘いんですよ」
ユキサは気づいてたじゃないですかとアレンが言うと、神田は大きく舌打ちをする。
「気づいたらもうかれこれ1時間。負けたら丸刈りらしいさ」
「もうただの殴り合いになってるよ」
「私は2人とも丸刈りになってほしくないなぁ」
不二とユキサが小さく笑いながら言った。
その横でマリがぽつりと呟く。
「あの襲撃がよっぽど悔しかったんだろう。アレンの奴はあんな性格だから、きっと抱え込んでいるんじゃないか」
神田も同じだ。
ユキサが目の前で戦っているというのに何も出来なかった事にイライラしているのだろうとマリは言った。
六幻がなかったのだから仕方なかったとユキサは思うが、神田はそう割り切れるものではないのだろう。
「それで、ジョニーは何か用があったんじゃ?」
「あ、そうそう!団服の採寸に来たんだよ。ラビと神田とアレンと不二の」
仕事してるの!?と彩音が驚きに声を上げた。
十代はすぐサイズ変わるからさ、あ、ユキサと彩音のはあとでリナリーが来ると思うからと言って、ジョニーはアレンと神田を呼ぶ。
しかし殴り合いが終わらない2人。
しびれを切らしたマリが怒鳴ると、やっと戻ってきた。
戻ってきた2人に、まさか殴り合いの怪我に言霊を使うことになるとはと複雑な気持ちのままヒールを唱えるユキサ。