第2章 第一話 黒の教団
おまけ
汽車内でアレンがトマと廊下で話している時だった。
ぐぅきゅるるる…と盛大な音が響き渡る。
それは部屋の中にいたユキサたちにも聞こえてきていた。
そういえば朝食食べ損ねてたなと、アレンは苦笑い。
ハッとしたユキサが、自らの荷物を漁り出す。
そういえば、何を持ってきたんだ?
出発前、遅れてきたユキサはそれほど大きくないが荷物を持ってきていたのだ。
ユキサの様子を神田が見る。
手に取り出した物を持ちながら、ユキサは扉の方へ。
開いた扉にアレンが振り返ると、手に持っている物を見て目を輝かせた。
嬉しそうなアレンに、アレンの分だとそれを手渡す。
「ありがとうございます!!」
それはジェリーのお手製サンドイッチだった。
今朝の食堂での騒ぎの後、司令室に呼び出されてそのまま任務へ行く事になってしまったアレンとユキサは、ばっちり朝食を食べ損ねていた。
アレンが沢山食べる事を知っていたユキサはジェリーに任務に向かいながら軽く食べれるものを頼んできたのだ。
初任務の2人に、ジェリーは何かと世話を焼きたかったらしく、日持ちする食べ物をいくつか持たせた。
遅れて来たのはそのせいか、と神田は思った。
「実はユキサからいい匂いがするなぁって思ってたんです」
はにかんで笑うアレンを見ながら、ユキサも自分の分の朝食を食べ始めた。
するとその時、スノーベルが服の中から出てくる。
何やら訴えるように鳴き始めたスノーベルに、全員がそちらを向く。
ユキサが自分の朝食を一旦起き、再び荷物に手を突っ込んだ。
取り出した物は、マシュマロ。
マシュマロと持っている手と反対の手を、スノーベルへ広げてみせた。
ポン、とスノーベルがそこに羽を乗せると、ユキサは満足そうにしながらスノーベルにマシュマロを渡す。
「(お手…!?いや、そんな事よりゴーレムがマシュマロを…え!?)」
ツッコミどころ満載のその様子を、3人は呆然と見ていた。
ティムキャンピーも食事ごっこを楽しむ事はあるが、スノーベルのそれはごっこ、というレベルを超えているような。
固まっている3人に気づいたユキサは首を傾げたが、朝食を再開した。