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【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第16章 第十五話 スキン・ボリック・ルーム


神田は振り返り、ユキサの腕を引っ張り上げる。
傷の回復が遅く、体に上手く力が入らない。

「っ…ユキサ、」

起きろ、と声をかけるがユキサは動かない。
先程の言霊は今まで聞いた事がなかった。
物凄い力が体の奥から湧き上がってきていたが、その代償なのかぐったりとしているユキサ。

考えるのは後だと小さく舌打ちをして、神田がユキサを引きずるようにして歩き出す。
辺りの地割れが大きくなってきた。

どさりと神田がその場に膝をついた。

「(左手が冷たさを感じない…)」

ハァハァと息を切らせながら神田は思考する。
先程の戦いで短時間に命を削りすぎた。
回復が追いついていない、と左胸に手を当てた。

『はかり間違えてはいけないよ』

コムイの言葉を思い出し、神田は小さく首を振った。
そうしてユキサへと近付く。
ユキサの治癒も追いついていないのか、首にはスキンが放った雷の痕が痛々しく残っている。

うっすらとかすれていく視界に、神田はバッと空を仰ぐ。
こんなところで、意識が朦朧としている場合ではない。

アレン、リナリー、彩音、不二…。
仲間たちの顔を思い出しながら、ユキサの体を肩へと抱え上げる。
ゆっくりと出口へと向かって歩き始めたその時だった。

ドンッ!!と背後で大きな音がする。
バリバリという音に神田が振り返り、目を見開いた。

「うそだろ…まだ…!?」

倒したはずのスキンが雷撃を溜めている。
その場にユキサを降ろして、神田が六幻を構え、最後の力を振り絞りながら走り出した。

「グアアアア!!!」

放たれた雷撃を既で避け、神田はスキンに斬りかかる。
しかし通常のイノセンス発動だけでは、先程までの威力は出ずスキンに傷をつける事は叶わなかった。
スキンの雷撃に、神田が吹き飛ばされる。

「許さない…許さない…許さない…」

絶えず呟かれるその言葉に、神田は訝しげな視線を向ける。
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