第16章 第十五話 スキン・ボリック・ルーム
「…本当に残るつもりか」
「もう決めたから」
そうか、と神田が呟いて、ノアへと向き直る。
律儀に待っていてくれたノアは長かったなと言った。
「やっぱりお前らが己の相手か」
ちらりとユキサの方も見るノア。
「俺たちでは不満か?」
「いいや…楽しませてくれそうだ…。あいつらがごちゃごちゃとうるさくてあのまま終わらなかったらどうしようかと思ったが…」
待っていたかいがあったと、ノアの放つ殺気が強くなる。
低く唸り声をあげるノアを見ながら、神田とユキサは戦闘態勢を取った。
「ってことは、ここにも扉があるってことさ?」
「そうレロ」
ラビの問いにレロがはっきりと答える。
その扉に鍵を入れれば、次の部屋へ続く出口になる。
アレンは鍵を持っている手を見つめた。
「その扉は、2つの部屋をずっと繋いだままになるのかな?」
「そうレロ。一度繋がった扉はずっとそのままレロよ」
不二の問いにも律儀に答えるレロに、彩音はレロは本当に敵なんだろうかと錯覚しそうになる。
それなら神田もユキサもあとから来ることが出来る。
ホッと安心した彩音は、チャオジーの声にそちらの方を向いた。
「あそこの扉がそうなのかな…?」
建っている建物の扉を見て、彩音が首を傾げる。
扉へと近づき、不二がアレンに手を出した。
その手にアレンが頷いて、鍵を乗せる。
不二が少し警戒しながらも、鍵をかちゃりと回した。
先ほどと同じように扉が変化し、開かれた。
「次の部屋だね」
「行こう…!」
アレンの言葉に足を進めた時だった。
背後で大きな音が響く。
「あの光は…!」
始まったさ…とラビが呟いた。