第16章 第十五話 スキン・ボリック・ルーム
その言葉を聞いてアレンが勢いよく手を上げた。
「僕も残ります神田!」
「アレン!?」
みんなはスキを見て次の扉を探して進んで下さい、と言ったアレン。
「なら、皆で戦ってから行った方が…」
「それでみんな脱出できなくなったらどうするんですか」
彩音の言葉にアレンが首を振った。
時間が刻一刻と迫っている。
そしてきっとこの先にもノアはいる。
先に進むグループにも戦力は残した方がいい。
「だからここは僕と神田が残ります」
「お前と2人なんて冗談じゃねェよ。俺が殺るつってんだ」
アレンの言葉を聞いて、神田はアレンへ刀を向けた。
ビックーーーンと全員が恐怖に固まる。
神田の目が本気である。
更に刀をアレンの肩に下ろしながら、鋭く睨む神田。
背景にはうっすらと般若が見えるようだった。
「とっとと失せろ。それともお前らから斬ってやろうか?」
「か、神田…?」
「ほ、本気…??」
「こいつ、仲間を脅してるレロ…!!」
すらり…と六幻をなぞり、発動する。
やれやれ…と小さく微笑んで、不二は彩音を連れてその場を離れた。
「界蟲一幻!!」
「うわあああああああ!!!!」
イノセンスの発動にノアが戦闘態勢を取ったが、放たれたのは自分ではなく、呆気にとられる。
蟲たちはアレンたちを追いかける。
アレンはリナリーを庇って左手で蟲を斬った。
レロは蟲に噛まれており、ラビとチャオジーは逃げ回っている。
先に避難していた不二と彩音は岩の陰に隠れていた。
「周助…」
「…………」
神田の傍で黙って立っているユキサを見て、彩音が心配そうに不二へ話しかける。
おそらく、ユキサは…。