第16章 第十五話 スキン・ボリック・ルーム
「ここは…」
「外じゃねェな…」
辺りをキョロキョロしながら、一行は歩く。
空は子供が描いたような可愛らしい月や虹が浮かんでいた。
そこに似付かわしくないゴツゴツとした岩が地に並ぶ。
ぴくりと先頭を歩いていた神田が立ち止まり、ユキサが神田?と問いかける。
シッと声を潜めて、いるぞと神田が一方を睨んだ。
そこには江戸で不二たちが戦ったノアが立っていた。
「お前ら、先行ってろ」
「え!?」
神田の言葉に全員が驚く。
「あれはうちの元帥を狙っていて、何度か会っている」
「え…そうなの!?」
「うん。江戸に来るまで、私も何度か見かけてる」
神田に続いて頷くユキサ。
彩音と不二は気づいていなかった。
戦いの後、すぐに去っていってしまうので気づいてなかったのも無理はない。
「やっときたか…エクソシスト…イノセンス…!」
許すな、許すな、許すな…。
ノアの不気味な声を聞きながら、神田1人置いてなんか行けないよ!とリナリーが言った。
対して神田は、任務で斬るだけだとハッキリ答える。
別にお前らの為じゃない。
続いて言われた言葉に、そっか…とユキサは呟いて、心の中で1人、決心をする。
ドオォォン…と低い地鳴りが響いた。
「地震…!?」
「やっぱりまだここは方舟の中なんだね…!」
不二の言葉にレロが肯定する。
ここはまだ新しい方舟へダウンロードが完了していないだけの部屋…。
ダウンロードされ次第、消滅する。
「まぁどんなに足掻いてもあと110分レロ…」
110分?
彩音が問えば、方舟全体のダウンロードが完了して消滅するまでの残り時間だとレロは答えた。