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【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第15章 第十四話 江戸


(まさか、あの神田がなぁ…)

その場を去っていく2人にアレンは優しい視線を向けていた。

「少し休め」

ずっと言霊を使っているだろうと神田が言う。
さっきのラビたちの話が本当ならば、今、日本はかなり危険地帯なのだ。
戦闘がない時くらいはユキサ自身も休んでほしい。

壁を背にして座った神田の横に、ユキサも腰を下ろした。

「それから、再生の言霊は使うな」
「それは…」

拒まれるだろうと読んでいた神田が言葉を続けようとしたが、ユキサは俯いて黙り込んだ。
その様子に疑問に思った神田が首を傾げる。
少しの間の後に、ユキサが神田を見ながらうん、と頷いた。
神田の驚いた表情にユキサが曖昧に笑った。

「…さっきの戦闘で、伯爵の攻撃を受けた時。あの時、再生魔法は勝手に解けてしまったの」
「勝手に?」
「でも解けていなかったら多分、私はダメージに耐えられなかったかも」

ダメージに耐えられなかった、だから勝手に解けた。

―――――それではまるで…

眉を顰めた神田に、ユキサも何も言えなかった。



「すみませんでした…勝手にいなくなって。それに…」

眠っているリナリーに、アレンが口を噤む。
アレンの声に、ユキサが心配そうにアレンを見た。
考えているのはきっと、スーマンの事だろう。

フッ…とリナリーの目がゆっくりと開く。
アレンが嬉しそうにリナリーを呼ぶ。

「リナリー!目が覚めたんだね」
「よかった、何処か痛いところはない?」

彩音とユキサも駆け寄って、リナリーへと話しかける。
大丈夫よ、と答えながら、リナリーはアレンへ視線を向けた。
目が合ったアレンが、視線を落としながら、すみませんでしたと謝罪を口にする。

「どうして謝るの?」
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