第2章 第一話 黒の教団
「ごめんね。任務から戻ったばかりで気が立ってるの」
これからよろしくと神田に挨拶をしたアレンだったが、呪われてるやつと握手なんて出来ないとハッキリ振られてしまう。
あなたも、来て早々ごめんね、とリナリーに言われていると、ハッとしたアレンがユキサへ向き直った。
「そういえば!怪我はない?大丈夫だった?」
「うん、ありがとう。でも、あなたの腕…」
そっ…と触れようとすれば、バッと腕を引っ込めるアレン。
ユキサは少し驚いたが、触れてほしくないものだと理解して、それ以上触れようとはしなかった。
「あっ…ご、ごめん。でも、大丈夫だから…そんな事より、僕はアレン・ウォーカー。君は?」
「私はユキサ。私もさっきここに来たばかりなの」
「さぁ2人共、教団を案内するわ!アレンくんのその腕は、兄さんに治してもらいましょう」
軽く挨拶を済ませた2人は、リナリーの後を追った。
一通り教団内の案内をしてもらった時、コムイが3人の前に現れた。
いやぁ~さっきは大変だったねぇ、なんて呑気に言うコムイに続いて、地下に降りていく。
周囲からは誰のせいだ!と叫び声も聞こえていた。
そうして到着した場所は、手術室。
アレンの腕を治すために、コムイはリナリーに麻酔を準備させる。
「君は、寄生型だね」
寄生型、数ある対AKUMA武器の中で、最も珍しいタイプだよ。
そう嬉しそうに言いながら振り返ったコムイの手には、ドリルやら何やらよく分からない機械が握られていた。
それを見たアレンとユキサはギョッとする。
程なくして…教団内にアレンの悲痛な叫び声が響き渡った。
もう腕を壊すもんか…。
どんよりと座り込んでしまったアレンの頭をしゃがんだユキサがよしよしと撫でる。
アレンの治療が終わり、次はイノセンスを調べるために、昇降機にて地下へ向かっている所だ。
『それは、神のイノセンス。全知全能の力なり』
『また、我々は神を手に入れた』
少しした後、昇降機は止まり、真っ暗な空間に包まれる。
そこで光が差し込み、声が響き渡った。
上の位置に立つ5人の顔は見えない。
「僕らのボス、大元帥の方々だよ」
ーーーーーさぁ、君の価値を、あの方々にお見せするんだ…。