第12章 第十一話 夢現の大地
「おはようございます、元帥」
次の日。
2階から降りてきた彩音と不二。
先に朝食の席についていたティエドールと神田、マリがそちらを見る。
と、ティエドールがおや?と首を傾げた。
「ふむ…2人とも、ちょっとこっちに来てくれないかい?」
「はい?なんですか?」
言われた通りに近付くと、ティエドールがぺたぺたと不二の体を触る。
続けて彩音にも触ろうとした所で、不二がティエドールの手を掴んだ。
「あの…一体何ですか?」
「ほうほうなるほどねぇ!いやぁ、僕もずっと歯痒い思いをしてたからねぇ!」
おさまる所におさまってよかったよ、と嬉しそうに笑った。
意味を察した不二が少し照れくさそうにする。
しかし彩音は何も分からないようで、頭に疑問符を浮かべていた。
「どういう意味ですか?」
「君と不二が仲良くて何よりって事だ」
「私たちは幼馴染みですから、元々仲は…」
そこまで言って、不二が彩音の口を塞ぐ。
公開処刑のようなものだ、これ以上は何も言わないでほしい。
「それに比べて神田、君って人は…」
「…何の話ですか」
ティエドールの大きなため息に神田が青筋を浮かべる。
とそこへ、ユキサが2階から降りてきた。
「おはようございま…って、どうしたんですか?」
彩音の口を塞ぐ不二、青筋を浮かべる神田に、楽しそうなティエドール。
そしてそれを見守るマリの姿。
「いやぁユキサちゃん!今夜はお祝いだね!」
「へ?は、はぁ…」
この日から、彩音と不二の人物画がティエドールのコレクションに増えた事は、また別の話である。